Teramaze「Are We Soldiers」: オージープログレメタルの2019年最新アルバムリリース!(試聴あり)
by 関口竜太 · 2019-06-24
おはようございます、ギタリストの関口です。
Teramazeのニューアルバム「Are We Soldiers」がいよいよリリースされました!先行で3曲ほど配信されていましたが未チェックのままでしたのでアルバムリリースと同時にチェック、ご紹介していきます!
Are We Soldiers / Teramaze
Teramaze(テラメイズ)は、オーストラリアのプログレッシブ・メタルバンド。
メンバー
- Dean Wells – Guitar, Vocal
- Brett Rerekura – Vocal
- Jonah Weingarten – Keyboard
- Andrew Cameron – Bass
- Nick Ross – Drums
本作のボーカリストは前作で担当したNathan Peacheyに代わりオリジナルメンバーのBrett Rerekuraに戻っています。
音楽性
再結成から果たしたデビュー作「Anhedonia」ではダウンチューニングでザクザクと刻むスラッシュメタルバンドとしての側面が強く、ブレットの力強いボーカルもMetallicaやPanteraを彷彿とさせそれはそれでモダンかっこいいのですが、プログレとはまた別物でした。
2ndアルバム以降、シンセサイザーの分量が格段に増え楽曲も叙情的なアップダウンで表情が豊かになっていきます。この辺からプログレバンドとしての頭角が現れてきます。
3rdアルバム、すなわち前作「Her Halo」になると10分を超える長尺曲を含むようになり、モダンながら古き良きプログレッシブ・ロックのエッセンスも取り込んだ正統派プログレメタルへと完成します。ボーカルのネイサンも色気があっていい感じです!
楽曲紹介
- Fight Or Flight
- Are We Soldiers
- Control Conquer Collide
- From Saviour to Assassin
- Orwellian Times
- M.O.N.S.T.E.R.S.
- Weight of Humanity
- Fact Resistant Human
- The One Percent Disarm
- Depopulate
今作は機械的に動く人類とその意味について問う、言わばコンセプトアルバム的な作りとなっていて10曲ながら70分に及ぶ大作です。
シンセストリングスからタイトに刻むギターリフで幕を開ける#1「Fight Or Flight」。比較的スローテンポな楽曲をオープニングに持ってこられるほど、メタルバンドとして成熟しているのがわかります。
#3「Control Conquer Collide」ではバンドが持ち味としているキャッチーなメロディで勝負を仕掛けて来ます。中盤にはアコギとピアノで雰囲気を急降下させPorcupine Tree的叙情の嗜み。
Teramazeの特徴的な要素にリフは王道をいくというものがあります。
ダウンチューニングだったり7弦ギターを使用してはいますがリフ構築は聴く人の耳を疲れさせないシンプルな造りになっていて、しかしシンセだったりサウンドプロダクションだったりがそれを古く感じさせません。
#4「From Saviour to Assassin」、#5「Orwellian Times」#7「Weight of Humanity」ではそこが顕著。特に#7では本人たちから「今回のアルバム用に書いた最初の楽曲だった」と言われている通りTeramazeのバンドスタイルを強く表した曲だと思います。
今やバンドのファクターであるキーボード/シンセサイザーは本作でも威力を発揮。タイトルナンバー#2「Are We Soldiers」や#4、そして#6「M.O.N.S.T.E.R.S.」でのイントロで次に何が飛び出してくるのかを期待させてくれます。
5人のバンドながら重厚なコーラスも魅力で、先の#3や#8「Fact Resistant Human」など。そこだけに留まらず全編で堪能できるバンドとしての聴きどころです。
今作は前2作に比べると複雑なシワを真っ直ぐに伸ばした感があるのですが#9「The One Perfect Disarm」#10「Depopulate」ではご期待通りのプログレメタル!
#9は複雑なリフにブレットのシャウトが絡む濃厚な一曲。#10は12分に迫る大作でモダンメタル、シンセ、プログレと要素をひとまとめにした贅沢な締めとなっています。
最後に
プログレメタルながら暗くならないのがTeramazeの良いところです。
どんなにダークな展開になったとしても必ず最後は豊かなコーラスとメロで持ち直し幸せな気分にさせてくれます。
一方で本作はブレットの復帰作ということでしたが、前作までに比べるとDerek Sherinian的キーボードソロがなかったり若干プログレッシブさに欠け、「Anhedonia」+シンセくらいの認識に留まってしまったのが個人的には惜しかったです。
オススメは#3「Control Conquer Collide」と#9「The One Perfect Disarm」。複雑な技巧派プログレメタルよりオルタナティブ・メタルやエモに近いところがあるのでそちらがお好きな方には是非通勤通学のお供にして欲しいです。
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関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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