Yes「Fragile(こわれもの)」: 祝ブログ一周年!タイトルの元ネタが収録された’71年の名盤を解説!
by 関口竜太 · 2019-06-01
おはようございます、ギタリストの関口です!
お知らせです!
本日6月1日でこのブログがめでたく一周年を迎えました!
「自分の好きなことを発信する」をモットーに立ち上げたこのブログ。一番最初の投稿は時計が日本に設定されていなかったため6月2日となってしまいました。
「毎日更新」という当初の目標は7月半ばくらいで途切れて秋ごろは更新もまばらでしたが、今年に入り活力を入れ直し、3月4日以降更新は途切れていません(前日3月3日は宮城弾丸旅行のためお休み)。
現在記事数は300余り。おかげさまで毎朝起きてブログを書くという習慣が身につきました。もうそれ以前の朝はどうやって過ごしていたのか若干思い出せないくらいになっています。
…とは言っても、まだ一年ですからね。
言うなれば終わりがない空間でこれからも書き続けるんだろうなぁっていうのは感じているんですが。こうして節目は大事にしつつあまり気負わないように今まで通りやっていきたいと思っています。
というわけでいつも通りプログレの紹介です。
Fragile / Yes
Yesはイギリスのプログレッシブ・ロックバンド。1970年代のプログレッシブ・ロックブームを牽引した五大プログレバンドの一つで1985年度グラミー賞受賞。2017年には「ロックの殿堂」入り。
アルバム参加メンバー
- John Anderson – Vocal
- Chris Squire – Bass
- Steve Howe – Guitar
- Bill Bruford – Drums
- Rick Wakeman – Keyboard
言わずと知れたイエスの代表作
1971年リリースの4thアルバム「Fragile(邦題:こわれもの)」と翌年リリースされた5thアルバム「Close to the Edge(邦題:危機)」はまさにYesにとっての全盛期で、それは楽曲としてもメンバーとしても最高潮です。
ルネッサンス時代の芸術家であるミケランジェロは彫刻を掘る時、「考えてから掘る」のではなく「石の中に内在している運命の形を取り出してやるだけ」と発言しており、かの有名なダビデ像などはそうして掘られたと言われています。
要するに「後世に名を残す優れた芸術作品は生まれるべくして生まれた」という意味なのですが、本作はまさにこのメンバーだからこそ生まれたし、このアルバムと楽曲は「運命的に世にでることが決定されていてその際のメンバーは上記の5人だった」と言わざるを得ません。
RoundaboutとHeart Of The Sunrise
アルバムは長尺曲3曲に3分半ほどの「Long Distance Runaround」、そして30秒〜3分ほどの短いメンバーソロ曲を散りばめた構成になっており、それらは#1「Roundabout」とラスト#9「Heart Of The Sunrise」を繋ぐ架け橋のようになっています。
それらはコンセプトアルバムのようにも聴こえるし、知ってか知らずか後の代表曲を引き立てるように空白を埋めているようにも感じることができて非常にユニークです。
Roundabout
フィードバックとアコースティックギターによるハーモニクスやアルペジオを使った印象的なイントロがすべてを物語るYesの代表曲その①。
元々有名な楽曲ですが、2012年にアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」のエンディングテーマに採用されて以降、その特徴的な導入と「to be continued…」のテロップから流れるようにエンディングに入るのが話題を呼び、より一般的に広く知れ渡ることとなりました。
Chris Squireのゴリゴリのベースとこれぞ70年サウンドといえるBill Brufordのドラム、Steve Howeのギターが曲を引っ張っていきます。Rick Wakemanのシーケンスや効果的なフィルインはオーガニックな楽曲に彩りを与え、今も色褪せないJohn Andersonのファルセットのようなボーカルが嫌味なく響きます。
3:25〜は曲が前のめりに展開していきテーマは崩さずに別の表情を見せています。8分36秒という決して短くない時間の中で濃密にそして終始美しい名曲となります。
Heart Of The Sunrise
邦題は「燃える朝焼け」。今更な話ですが何を隠そうこのブログのタイトルとなった楽曲。
その前のトラック#8「Mood For A Day」というクラシカルなアコースティックインストが静かに流れた後で、ベースとユニゾンする強烈な高速ギターリフで幕を開けるYesの代表曲その②。
叙情的なボーカルパートとアグレッシブなインストパートとの対比が素晴らしく、6:52〜のシンセとメインリフのバースやストンと落としまた盛り上げていく後半の構成は圧倒されます。
1998年の映画「バッファロー’66」のテーマ曲になっているほか、最近ではテレ朝系列「ザワつく!一茂 良純 時々 ちさ子の会」でもテーマ曲として耳にする機会があります。The Beatlesが王者に君臨していた60年代の終わりからわずか2年ほどで完全に時代が変わったと印象付ける強烈な一曲です。
最後に
彫刻は見る角度や光の屈折具合で表情を変えたりします。
音楽アルバムというのは見た目は平面な円盤なのに再生することでホログラムのように音像が浮かび上がり、目ではなく耳を使って様々な角度から観察することができる特殊な芸術の形です。本作はそんな人の叡智の極みを堪能できる一枚です。
二年目も「イメージは燃える朝焼け」をよろしくお願いいたします!
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関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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おめでとうございます!
(=^ェ^=)
ありがとうございます!!