Anekdoten「Vemod」: クリムゾンライクの90年代プログレ!衝撃の1stアルバム。
おはようございます、ギタリストの関口です。
昨日は光栄なことにプロギタリスト・事業主の集まる飲み会に参加させていただきました!
昼から音を出して、夜は語らいながらアルコールを胃袋へ、そんな会だったそうですが生憎米屋業のあった僕は夜の部よりアルコールの海に飛び込ませていただいた所存です。
飲み会とは言っても、以前楽器フェアでお会いしたLimetone Audioの今西さん(僕が来るまで待っててくださってありがとうございました!汗)を除き他全員が初めまして。冗談から真面目な話から、個人の音楽家として持つべき姿勢を勉強させてもらう一方、Twitterでいつもお世話になっているから初めて会った気がしないのはあるある。
みなさん良い方たちで楽しく過ごさせていただきました!
Vemod / Anekdoten
Anekdoten(アネクドテン)は、スウェーデンのプログレッシヴ・ロックバンド。1993年にデビュー。この「Vemod(暗鬱)」が1stアルバムになります。
メンバー
- Nicklas Barker – Gutar, Vocal
- Jan Erik Liljeström – Bass, Vocal
- Anna Sofi Dahlberg – Cello, Mellotron, Keyboard
- Peter Nordins – Drums
流行の渦で耐えたプログレッシブ・ロック
そもそも70年代後半にはパンク、グランジの台頭でギターソロや小難しい音楽は徹底排除、その流行に最も押し流されたのは対極にあるプログレでした。
80年代、プログレは商業的アレンジをされたAsiaやJourney、Totoのようなバンドが活躍する一方で、パンク・グランジの冬が過ぎ雪解けから芽吹くように現れたのがMarillion、It Bites、I.Qなどいわゆるポンプ・ロック(ネオプログレ)と呼ばれるジャンル。
しかしそのブームもわずか5年ほどで収束します。この時期現れたバンドはそれでも息が長く今でも活動を続けていますが、様々な流れと自身たちがやりたいプログレとの狭間で揺れた不安定な時期だったのではないかと個人的には思います。
クリムゾンフォロワーと時代の先駆け
Anekdotenは、プログレッシブ・ロック最初期の様相を、90年代になって再現に踏み切ったバンドとしてデビューから話題でした。
ジャケットは一見、Black Sabbathのようなクラシック・ハードロックを想起させますがその実音楽性は初期King Crimsonに則ったものでした。
#1「Karelia」から強烈なチェロとメロトロン。往年のプログレファンたちはうねったに違いありません。「これこれ、60〜70年代ってこうだったよね!」そう思わせてくれます。
音楽における演奏の技術も30年でかなり進化をしました。
HR/HMのようにテクニカルな音楽は同時にロックギターリフも人々に馴染むよう提案と擦り合わせが行われて来ましたが#2「The Old Man and the Sea」などではそれが顕著に出ています。頭のヘヴィなリフでガッチリ掴んだかと思うとメロトロンをバックにボーカルJan Erik Liljeströmが儚げに歌っていきます。
このジャンのボーカルは今にも吹いたら消えそうなところで新たな提案でした。というのも最盛期のプログレはKing Crimsonのようなヘヴィな特異バンドを除けば比較的ライトな楽曲が並ぶ一方、ボーカルはその後ハードロックに通じていく力強さが内在していたからです。
しかしこのか細くナイーブなボーカルですら、その後にポスト・ロック勢が持ち味にしているところを聴くとあえて古いものをやった結果、時代を先取りしてしまったというなんとも奇妙な実情です。
個人的におすすめ曲はSteven Wilsonを思わせるオクターブの変則リフが特徴である#5「The Flow」、「21st Century Schizoid Man」を完全に意識したホーンセクションが聴ける#7「Wheel」、そして唯一の10分超えながら静かでシンフォニックに飾るラストナンバー#8「Sad Rain」。
どこを切り取ってもイギリスを感じ取れる北欧プログレ、大変結構なお手前でした。
I like Crimson.