平成Vロックの切り札、Janne Da Arcのアルバム全紹介!

こんにちは、ギタリストの関口です。

まだ平成の時代の4月1日、この日新元号「令和」の発表があった裏でロックバンドJanne Da Arcの解散が正式発表され多くの惜しむ声が聞こえました。

そのときの記事はJanne Da Arcが解散。平成の終わりと筆者の思い出。で書いてありますのでそちらをご覧ください。

今回は平成の時代で言わばレジェンドとなり、今なおコピーバンド企画なども行われるくらい人気のJanne Da Arcについて、そのアルバムを全紹介という内容です!

Janne Da Arcについて

Janne Da Arc(ジャンヌダルク)は日本のロックバンド。2007年に活動休止を発表し長らく復活が待たれましたが惜しくも2019年4月1日に解散。

メンバー


  • yasu – Vocal
  • you – Guitar, Chorus
  • ka-yu – Bass, Chorus
  • kiyo – Keyboard, Chorus
  • shuji – Drums

インディーズ時代

Dearly(1998年)


Dearly

Janne Da Arcのキャリアを彩る1stミニアルバム。レコーディング環境のせいかインディーズ時代はプロダクションの甘さが目立ちボーカルyasuの成熟しきっていない滑舌の悪さなどもありますが、音が悪くともその溢れるバイタリティで乗り切ってみせる勢いを感じます。

演奏力もこの頃から抜群で、超絶ソロや複雑なプログレッションなど合間って色々な意味でDream Theaterの「When Dream And Day Unite」を彷彿とさせます。

Resist(1998年)


Resist
インディーズミニアルバム2作目。音質は向上。これぞまさにJanne Styleと言うべきメロディアスハード#1「ICE」、当時脱退したがったkiyoのために作られた#5「Lady」、ライブでも定番の#6「Stare」など後期キャリアにも通用する名曲揃いです。

CHAOS MODE(1999年)


CHAOS MODE
インディーズミニアルバム第3弾。これを最後にJanne Da Arcはメジャーへ。yasuの声が何故か若干若返ります。メジャーを前に演奏にも力が入るエネルギッシュな一枚となっています。#3「Psycho Dance」#6「Strange Voice」などyouのギターソロにネオクラシカル色が強いです。

メジャー

D・N・A(2000年)


D・N・A
Janne Da Arcの記念すべきメジャー1stアルバム。デビューシングルの「RED ZONE」他、「Lunatic Gate」「EDEN〜君がいない〜」「Heaven’s Place」までシングル4枚を収録していてうち「RED ZONE」と「Heaven’s Place」はアルバムバージョン。

メジャーに入りリヴァーブの強かったインディーズ時代と比べ大分スッキリした音像です。ディミニッシュ感の強い#2「Vanity」や、#5「child vision〜絵本の中の綺麗な魔女〜」#6「Stranger」#9「Junky Walker」など演奏力をフィーチャーした楽曲が多いのはインディーズの名残と言えそうです。この頃からka-yuの書く#7「桜」#11「ring」など美しいバラードが好評に。

Z-HARD(2001年)


Z-HARD
1stからよりメタル感溢れるエッジの効いた作品。個人的にジャンヌのアルバムでは1,2位を争う名盤。シングルは「will〜地図にない場所〜」「Mysterious」「Dry?」「NEO VENUS」ですが「NEO VENUS」は本アルバムからのシングルカット、あと3曲はアルバムバージョンとなります。

ライブでは定番だった#2「-救世主 メシア-」やエイトフィンガータッピングのソロが聴ける#5「7 -seven-」、ベースのスラップやイングヴェイを意識したというギターソロのメタルナンバー#8「WARNING」などテクニック面でJ-ROCKシーンに切り込んでいった意欲作で、伸び悩むセールスとは別にファンからの支持が厚いです。

GAIA(2002年)


GAIA
シングルは「seed」「シルビア」「feel the wind」。タイアップに比例してシングルでは比較的ポップなナンバーが増えていきます。なおいずれもアルバムバージョン。

幻想的なアルペジオを用いたアンビエントなプログレナンバー#1「GAIA」やヘヴィな#2「セル」#5「curse」#6「GUILTY PAIN」などシングルの副作用のようにアグレッシブな曲が並びます。「GUITY PAIN」では7弦ギターを使用。yasuの書くエロティシズムな歌詞もこの時期が最高潮

ANOTHER STORY(2003年)


ANOTHER STORY(CCCD)
Janne Da Arcとしては「Dearly」以来となるコンセプトアルバムでメジャーとしてはもちろん初。シングルは「Shining Ray」「マリアの爪痕」「霞ゆく空背にして」を収録しており全てシングルバージョンという良心さ笑 このアルバムから「Rainy〜愛の調べ〜」がシングルカットされているので実質この曲がアルバムバージョンになります。

挫折と絶望から自殺を図ろうとした主人公が行き着いた母校の小学校で希望を持っていたころ自分が描いた絵本に再開しその内容と心理がリンクしたコンセプトアルバム。同日にはこのストーリーの書籍版も発売しセールスとしても好成績を残します。メタルナンバー#12「ヴァンパイア」はライブの定番曲でアマチュアコピーバンドにも大変人気。

SINGLES / ANOTHER SINGLES(2003年)


SINGLES (CCCD)
ANOTHER SINGLES(CCCD)
「ANOTHER STORY」後に発表された「Rainy〜愛の調べ〜」と「飢えた太陽」のアルバムバージョンを含む初のシングルコレクションとカップリング集。2003年のJanne Da Arcは完全に「ANOTHER」という単語が幸運のワードになっていて、ことあるごとに「ANOTHER」を付けていた印象です。

ARCADIA(2004年)


ARCADIA
初のセルフプロデュース作にしてオリコンチャートで週間2位を獲得したヒットアルバム。シングルは「FREEDOM」「Kiss Me」に加え3週連続500円シングルとしてリリースされた「DOLLS」「ROMANC∃」「BLACK JACK」も全て収録。

演奏難易度は高いままですが以前のような超絶テクニックやプログレッシブな曲展開は徐々に影を薄めていきます。ですが中には陰鬱な#5「trap」#6「心の行方」や本格ロックインスト#7「ATHENS」などセルフプロデュースならではの一面も見られます。個人的にオススメは#9「WIZARD」

JOKER(2005年)


JOKER
彼らにとって最後のオリジナルアルバムとなってしまったメジャー6th。シングルは「Love is Here」「月光花」「ダイヤモンドヴァージン」。「月光花」の大ヒットでメディアの露出が最も多かったと言えます。

日常の小さな気付きや描写が曲や歌詞に反映されているのがポイント。符割の取り方やメロディラインは完全にデフォルメ化してしまったのですがそれでも#2「ツメタイカゲロウ」#10「Mr.Trouble Maker」などハードとポップを両立させるアレンジセンスはさすがのクオリティ。

SINGLES2(2007年)


SINGLES 2
同年1月に活動休止を発表し翌月リリースされたのはキャリア後半のシングル集でした。「JOKER」以降も両A面を含む3枚のシングルがリリースされており、ひょっとしたら幻の7thアルバムまで構想には上がっていたのかもしれません。新たに収録されたのは「振り向けば・・・」「Destination」「HEAVEN」「メビウス」

最後に 〜「世紀末の切り札」が今の音楽に遺したもの。


2019年現在20代後半〜30代前半の人にとってJanne Da Arcは青春ど真ん中のロックバンドでした。

女性ファンの多いヴィジュアル系の中で「世紀末最後の切り札」としてデビューし、一時はセールスが低迷しながら、それでも復活を果たしたのには理由があります。

一つは女性ファンと同等の男性ファンを獲得したという点。ライブの黄色い歓声に混じっている、4割は真面目に楽器を練習している熱心なバンド少年たち。解散してもなお、Janne Da Arcが愛されているのはルックスだけではない、音楽への正当な評価があったからに間違いはありません。

敬遠されがちなV系ロックというカテゴライズからリスナーに歩み寄る姿勢と関西出身のフランクな人間性も、彼らが惜しまれたもう一つの理由でしょう。

当時のロックバンドとしては珍しい「音楽を聴いてもらうためのアプローチ」として男性のみのライブイベント「男尻Night」やバックステージ招待、トレカ、3週連続シングルリリースもその一環でした。

今や握手会、全種揃えたくなるピクチャーレーベル特典など当たり前の要素もロックバンドとしていち早く取り入れていたJanne Da Arc。

昨今ではCDのセールス事情こそ低迷の一途を辿っていますが、Janne Da Arcは売るためのあらゆる工夫を取り込んだ平成の早すぎるブームでした。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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