プログレメタル×ゴシックの人気ユニット「Release Hallucination」とは。最新アルバムをご紹介!

おはようございます、ギタリストの関口です。

4月28日に行われた音系・メディアミックス即売会M3ではさまざまな音楽に出会うのですが、基本ここでしか手に入らないという面でレア度が通常とは全然違ったりします。

特に即売会のいいところはご本人から直接買うことができるというところであり、その際ちょっとしたお話ができたりなどクリエイターとしての楽しみもひとしおです。

そんな中、僕がお目当てにしていたうちの一つであるプログレを今日はご紹介します!

Imperfection of Imaginary Number / Release Hallucination

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Release Hallucinationは、ギタリストkaoru(通称かおりん)さんとボーカルemiさんによるプログレッシブ・メタルユニット/サークル。

メンバー


  • Kaoru Hirato – Guitar, Music, Programming, Mix, Mastering
  • emi – Vocal, Lyrics, Music, Visual Design

プログレメタル×ゴシックファッション


Release Hallucination(通称リリハル)は、2012年ごろより活動を開始。過去には5枚のシングル、2015年には1stアルバムをリリースしており本作は先日のM3で発表された完全新作の2ndアルバム

ヘヴィメタル/ パワーメタルを基盤としながらそこへプログレッシブのエッセンスを加えたプログレッシブ・メタルを展開します。それらいずれにおいてもジャケットは背景モノクロバックにゴシックファッションを思わせる女性が描かれておりそのデザインと様式美は音楽にも反映されています。

プログレッシブ・メタル×ゴシックという形がRelease Hallucinationたる最大の個性と言えそうです。

楽曲紹介


アルバムとしてはリリハル史上2枚目となる本作ですが、そのボリュームは同人界隈では規格外とも言える、全11曲70分のフルアルバム。

前半


#1「Prologue」の静かなメロディから繋ぐ形で怒涛のプログレメタルワールドが炸裂します。

#2「Deus ex Machina」では過去の「Chronostasis」「Fate」などで見られる高速リフで一気に世界観へ引き込んでくれる、これぞリリハルという一曲。曲中盤では西洋の石畳風景を思わせるワルツがプログレッシブな展開とゴシックのアンビエントを同時に感じさせてくれるから策士だと思います。

その音楽性からよくDream Theaterが引き合いに出されますが、Dream Theaterと言ってもMike Mangini(2011-)以降の比較的新しい部類なので、時期によって色味の違う同バンド全体を指す表現だとしたら若干の見当違いだと個人的には思います。それくらいリリハルにはジャンルを振り切った統一性があります。

続く#3「I.F.」においてもヘヴィなリフを聴くことができますが#2共々、近年のDjentからの影響を感じさせる刻みはリリハルの進化を伺わせます。サビでは節をリフレインするメロディ構築がテクニックや雰囲気だけでなく「歌物」として存在する意義を感じさせます。

ギタリストかおりんさんについて

リリハルのサウンドプロデューサーであり作編曲家、ギタリストのかおりんさん。作る曲はメタル、プログレ双方からの影響はもちろんですが、そのギタープレイは洋楽アーティスト顔負けのスーパーテクニック。どの曲に関しても痛快なまでの速弾きはリリハルの聴きどころの一つですが、ただ速いだけではないパターンやフレーズ構築の細部においてもセンスが光ります。

中盤


ヘヴィなアルバムの中には#5「Stray Sheep」のようなライトなシャッフルナンバーも用意されていて、こちらは初期Janne Da Arcの懐かしさも思わせる一曲です。オシャレなオルガンバッキングやピアノもたまりません。

#7「Cure(reprise)」はシングル「Chronostasis」に収録された「Cure」の別アレンジ、リミックスですが音質が向上し圧倒的に聴きやすくなっています。Galneryusなどジャパメタ的キーボードソロに、ペダルノートでネオクラシカルも演出するギターソロが印象的。

全体的に激しい印象の強いリリハルですがバラードも収録。#8「Sepia-end of summer-」などはまさにその象徴でゴシックメタルという硬派な近寄りがたさとは裏腹に、ボーカルemiさんの歌詞はどこにでもいる男女の青春を切なく書き上げています。

ボーカルemiさんについて

卓越した演奏が目立つリリハルですが、そのようなトラックの上で存在感を発揮するのがボーカルのemiさん。中域の強い声質は激しいバッキングの中でもしっかり抜けてくる印象があり、陰陽座の黒猫さんなどを彷彿とさせる伸びやかな表現力は上記でのバラードでも遺憾無く発揮。彼女のボーカルもリリハルの音楽を形成するのに欠かせません。

後半


#9「A Passing Point」#10「Memento Mori」はエモーショナルなメロディが際立つ二曲。うち特筆すべきは「Memento Mori」でリリハルのもう一つの特徴であるシンフォニックな要素を存分に堪能できると思います。4:47ごろから表情を変えるインストパートも「にやり顔」必至のプログレッション。

ラスト#11「Death with Dignity」で「Prologue」のメロディがこのイントロダクションであったのだと判明。少々切ない歌詞がノスタルジックに響きバラードという形でアルバムを締めてくれます。

コアなファンにはpixivFANBOXも


このように同人界隈ならずとも人気のRelease Hallucinationですが、その活動を応援する意味で、よりコアなファンにファンクラブも兼ねたクリエイター応援の月額サービスpixivFANBOXも開設されています。

Release Hallucination pixivFANBOX

なお楽曲はApple Musicでも配信されていますので聴いてみたいけどイベントには足を運べないという方にはそちらもどうぞ。

Release HallucinationをApple Musicで聴く

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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