U.K.: 逝去から2年。スーパーギタリスト、Allan Holdsworthの偉業を振り返る。
by 関口竜太 · 2019-04-19
こんにちは、ギタリストの関口です。
先日4月16日はギタリスト、Allan Holdsworthの命日でした。
彼は独特なジャズのフィーリングを持ち味にしたテクニカルギタリストという印象が強いのですが、辿ればプログレ出身のギタリストということで今日はそちらをご紹介します。
U.K. / U.K.
U.K.は、イギリス・イングランド出身のプログレッシブ・ロックバンド。
メンバー
- Eddie Jobson – Keyboard
- John Wetton – Vocal, Bass
- Allan Holdsworth – Guitar
- Bill Bruford – Drums
こちらはデビュー時の第一期メンバー。
概要
1970年代後期、パンク・ロック、グランジ・ロックの台頭で衰退していくプログレッシブ・ロックに有終の美を飾るようなコンセプトの基、U.K.は当時の実力派のプレイヤーが集まって結成しました。
元King CrimsonのベースJohn WettonとドラムBill Brufordによりインプロヴィゼーションを主体としたロックを展開しアメリカの市場を開拓しようとしたのが始まり。
同じくUKバンドとして活動していたRoxy MusicのキーボードEddie Jobson、そしてプログレバンド他ジャズバンドのプレイヤーとして名を馳せBillのソロアルバムにも参加していたAllan Holdsworthが加入。1stアルバムが出来上がります。
バラバラな音楽性から生まれたU.K.というケミストリー
片やダークなプログレッシブ・ロック、片やイギリスを代表するグラム・ロック、そしてジャズ/フュージョンと、実力者が揃ったとは言え個々の音楽性はバラバラでした。
しかしその緊張感のあるメンバー構成から生まれた1stアルバム「U.K.」は、緻密なハーモニーのコーラスワークに、ジャズ・ロックとハード・ロック、そして煌びやかなシンセサイザーが彩るプログレッシブ・ロックを兼ね備え、ハイレベルなインストパートが展開される力作となります。
その中でも一際存在感を放つのがAllan Holdsworthです。流れるようなレガートフレーズ、ギタリストなら常人には理解できないようなコードボイシング、サックスからの影響と言うもその本質が見えない独特なテンション感を持つ異次元のギタープレイが彼の持ち味でした。
インプロヴィゼーションもバンドの音楽性としていたU.K.にとってアランのギターはあまりある逸材でしたが、その違いすぎる音楽性からアランは1stアルバムで解雇され、ドラムのブラッフォードも脱退します。
その後、1980年に一度解散、それを受けたウェットンはよりポップなプログレの路線を目指しAsiaへとその音楽性を昇華していきます。これはAsiaが後の「プログレ・スーパーグループ」の元祖と呼ばれると同時に、U.K.が始祖に当たることの証明です。
近年の再結成からラストライブまで
2011年に再結成を果たしたU.K.は来日公演も行いました。この際、ブラッフォードはU.K.再結成に戻らなかったため、サポートドラムにはDream TheaterのMike ManginiやFrank Zappa Bandで活躍していたTerry Bozzioなどを起用します。
ラストライブは2015年。ここ今一度正式な解散をして、2017年にベースボーカルのウェットンとギターのアランが亡くなってしまったためU.K.の歴史はここで幕を閉じました。
稀代の天才、Allan Holdsworth。U.K.がスーパーグループの始祖として現在まで受け継がれているのと同じ理由でアランもまた時代を飛び越え受け継がれていくことでしょう。
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タグ: 英プログレ
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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2人亡くなってしまいましたね。
(=^ェ^=)