Fates Warning「Theories of Flight」: 奥深い!USプログレメタルバンドの音楽的変遷が多様すぎる!
by 関口竜太 · 2019-03-29
おはようございます、ギタリストの関口です。
今日はこのブログで度々比較に登場してはいたけども紹介するのは初となるFates Warningです。
Theories of Flight / Fates Warning
Fates Warning(フェイツ・ウォーニング)は、アメリカのプログレッシブ・メタルバンド。1980年代からプログレッシブ・ロックとヘヴィメタルを融合させるというスタイルに乗り出していて、「プログレッシブ・メタル」というジャンルを開拓した存在と言われています。
元Dream TheaterのMike Portnoyは、「プログレッシブ・メタルを作ったのはFWだ」と発言していて、同バンド他Queensrÿcheなど多くのプログレメタルバンドへ影響を与えました。
現メンバー
- Ray Alder – Vocal
- Jim Matheos – Guitar
- Joey Vera – Bass
- Bobby Jarzombek – Drums
- Michael Abdow – Guitar
デビュー当時のボーカルはArch / MatheosのJohn Arch、ツインギター体制になってからは同じくArch / MatheosのギターFrank Arestiも。ドラムにSpock’s BeardのNick D’Virgilioが参加していた時期がありますがその間音源のリリースはされていません。
音楽性の変遷
デビューした1984年から数え今年で35年という長期キャリアを持つFates Warningですが、ギターのJim以外メンバーチェンジを繰り返して来たため音楽性には多様なマイナーチェンジが見られます。
デビュー〜80年代中期
そもそもデビュー当時から長尺曲が収録されてはいたもののJohn Archのハイトーンもあって王道な80年代ヘヴィメタルといった感じです。
86年「Awaken the Guardian」によって変則的なリズムやテンポチェンジを含むドラマティックな曲調の変化などプログレッシブ色を増すようになります。このアルバムなどはDream Theaterの「When Dream And Day Unite」にも通ずるところがありますね。
80年代後期〜2000年代
89年「Perfect Symmetry」に差し掛かるころにはより複雑になりプログレバンドとしての地位を明確なものにしていきます。この頃は初期Rushを彷彿とさせます。
ほぼ現状メンバーに近づいた90年代後期から2000年代にかけてはライブサポートにキーボディストを迎えたりしてバンドサウンドはよりモダンな方向へ差し掛かりました。この頃の「FWX」あたりは初期のヘヴィメタルさは薄れプログレバンドとしての色が濃く出ています。個人的にはこちらの方が圧倒的に好み…笑
2010年代〜現在
「FWX」のリリースから9年のスパンを経てリリースされた「Darkness in a Different Light」はモダンさをそのままに原点回帰したかのようなヘヴィメタルサウンドが戻って来ます。2010年以降現在のFWは結成当初のツインギター構成が蘇っています。
パワフルに展開する分厚いプログレメタル
彼らにとって13枚目となる「Theories of Flight」は2016年リリース作。スタジオアルバムとしては現状直近のアルバムとなります。
前作「Darkness in a Different Light」よりInside Outへレーベルを移籍して、ツインギター構成にパワフルなヘヴィメタルが帰って来ました。“メタル>プログレ”と言った方がニュアンスは近いです。
それを引き継ぐかのように今作も存分にメタルです!それは#2「Seven Star」だったり#5「White Flag」だったりするわけですが、長らく堪えていた鬱憤を爆発させたようなパワフルなサウンド。Ray Alderの太く伸びやかなボーカルも絶好調だしツインギターの連携も一層取れているように感じます。
#7「The Ghosts of Home」のようにテクニカルな従来のFWも健在でリズム隊のコンビネーションも気持ちいい渾身の一枚となっています!
同種バンドへ派生したFWファミリー
Fates Warningはそのメンバー変遷などもあり多くのプレイヤーが携わったバンドですがそれだけに過去現在問わないメンバー間での派生バンドも多いです。
有名なところだとRedemption。こちらはボーカルRay AlderにSymphony XのMichel Romeoが加わったグループ。
弾きまくり!!Redemptionの2018年最新アルバムをレビュー。
さらにArch / Matheos。メンバー全員Fates Warningという経歴を持つ完全な亜種。FWより長尺な曲が特徴です。
そしてArmored Saint。ベースのJoey Veraが在籍しているメタルバンド。FWと直接的な関わりはないですが元々JoeyはASに所属していてFWに加入。
余談ですが、米英欧のプログレバンドTransatlanticを結成する際に、ギターには当初Jim Matheosが加入する予定でしたが諸事情により不参加。代わりにスウェーデンのThe Flower KingsよりRoine Stoltが加入しています。Jimが参加していたらきっとかなりメタル寄りな嗜好の音楽になっていたでしょう。
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タグ: Arch / Matheosプログレッシブ・メタル米プログレFates WarningRedemption
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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