カナダのRushの話。3ピースの気骨が産んだプログレハードの頂点。
おはようございます、ギタリストの関口です!
昨日は実にいい写真が撮れました!非常にシンプルでかつアーティスティックで、イメージ通りのものが撮れたと思います。
カメラマンから何枚か送られてきたあとで最終的に選んでジャケットのデザインへって感じなので音源方面の仕事は終わらせておかなきゃですね!
昨日はそんな中、シアトル・マリナーズ、イチロー選手の引退会見がありました。ジャンル無関係に国民にとってのヒーローでしたし、僕個人にもストイックで職人気質のある野球への姿勢は尊敬しています。本当にお疲れ様でした!
Moving Pictures / Rush
Rushはカナダのプログレッシブ・ロックバンド。20世紀後期のプログレとして自国のみならず世界的にも成功を納めたバンドの一つです。
メンバー
-
Geddy Lee – Vocal, Bass, Keyboard, Pedal Bass
-
Alex Lifeson – Guitar
-
Neil Peart – Drums, Percussion
3ピース編成であるのが大きな特徴。結成当初はLed Zeppelinのような骨太のハードロックを演奏していましたが1974年にドラムのニールが加入、彼の書く哲学的な歌詞を表現しようとバンドはプログレッシブ・ロックへ舵を切ることになります。
キャッチーさと複雑さの両立こそRush
デビューした当初はアルバム「2112」のように組曲や大作志向が目立つプログレバンドでした。
転機が訪れたのは1980年。レーベルの意向で「シングル的な短い曲」を求められそこでリリースされた「Permanent Waves」。その中に収録された「Spirit Of The Radio」は実にポップでわかりやすいメロディと複雑なリズムパターン、二面性があるような曲展開によって「ポップとプログレの両立」という理想を見出してしまいました。
これが後の「Rushらしさ」として現在まで発展していきます。
なお、Dream Theaterの「Status Seeker」や「Take The Time」など、Rushからの影響はバンドそのものに強く作用していてデビュー当時の比喩”Rush meets Metallica”という所以はそこにあります。
3ピースだからこその密度の高さ
僕個人の話になります。昔、3ピースバンドとして長い間活動を続けていた先輩に聞いたことがあります。
「3人しかいないのになんでそんな太い音で演奏できるんですか?(ライブを見て)エネルギーの壁がぶつかってくるようでした」と。
すると先輩が答えたのは単純。「いや、みんな余裕がないんだよ」でした。
「一人がしくじれば演奏が止まりかねない。自分が失敗しても他の誰も自分をフォローしてくれる余裕なんてなくてさ。自分も他のメンバーも必死で演奏してるだけだよ」
考えてみればもっともなことでしたが音を聴いたあとでしたからその言葉には重みがあって今でもよく覚えています。
Rushはベースのゲッディも立役者の一人。彼はベースボーカルなのですが、ステージにはキーボードが置かれ、足元にはペダルベースと呼ばれる足で演奏する鍵盤が置かれています。
ペダルベース Hammond XPK-200GL
これによってシンセサイザーを演奏しながら足でベースも演奏できるという、まさに一人4役です。
ポップな技巧が詰まった名盤
今日ご紹介する「Moving Pictures」は先の「Rushらしさ」が確立されたあと、1981年にリリースされました。
#1の「Tom Sawyer」やプログレの名インスト#3「YYZ」など名盤には名盤たる曲が揃っていますが、ゲッディの獅子奮迅ぶりが垣間見え、明らかにウワモノのシンセが鳴ってるのにベースも演奏されています!
もちろん、レコーディング時は別々で録音しているでしょうが、ライブではキーボディストを雇うことなくこれを一人でこなしてしまいます。曲の難易度だって十分上級者クラスなのにこれは違った側面での超絶技巧です。
アルバムは他に変拍子を加えながら明るいメロが印象強い#4「Limelight」、プログレらしい長尺ながらそんな小難しさを感じさせない#5「The Camera Eye」、80年代らしいハードロックの#6「Witch Hunt」など、おすすめしようとしたら全曲になってしまうほどの完成度。
三人だからこそ体現する意味のある音楽はプログレッシブ・ロックという枠すら超えているかもしれません。
アルバムは7曲40分というサイズ的にもとても聴きやすい仕様ですので一聴をオススメしたいです。
カッコいいっす!
(=^ェ^=)