迷ったら一度ルーツに…北欧Anekdotenによる原点回帰プログレ。

おはようございます、ギタリストの関口です。

やっぱり二十八日間しかない二月は短く感じました。カレンダーで言えばちょうど四週間で収まる気持ち良さこそあれど年始から「もう何日が過ぎたね」というお決まりの会話に拍車をかけているのは紛れもなく二月です。

そんなこんなで三月に入りまして、春に向けて卒業シーズン、花粉シーズン、冬眠をしない人間も動き出す季節が到来です!季節的には無関係ですが本日はこちらのバンドをご紹介。

Untill All the Ghosts Are Gone / Anekdoten

斜陽の館 UNTIL ALL THE GHOSTS ARE GONE

Anekdoten(アネクドテン)は、スウェーデンのプログレッシヴ・ロックバンド。1993年に自主レーベルより「Vomod(暗鬱)」にてデビューしました。

メンバー


  • Nicklas Barker – Gutar, Vocal
  • Jan Erik Liljeström – Bass, Vocal
  • Anna Sofi Dahlberg – Cello, Mellotron, Keyboard
  • Peter Nordins – Drums

Aknedonがデビューした90年代初頭のプログレ文化とは


ご存知プログレッシヴ・ロックは60年代後半から70年代半ばにかけ特に栄えた音楽で、その後Sex PistolsThe Crushなどパンクロックに押され衰退します。

それからひっそりとではありますがかつてのプログレスタイルや各地に散らばった音楽的影響が一から、また少しずつ芽吹き出し80年代にはMarillionMagnumといったネオプログレも生まれていきます。

こと、発祥地イギリスでネオプログレは流行を見せましたがさすがに全盛期のような勢いは見られず当時の音楽ファンの間でも「プログレは60〜70年代がよかった」と、早くも年寄りめいた考えを抱いても少しも不思議ではありませんでした。

彼らがデビューした90年代初頭というのはDream TheaterのImages &Wordsがプログレッシヴ・メタルとしてアメリカでヒットする傍、「ロックサイド」は古き良き原点回帰を迎えていました。

音楽性


2015年発表のこちらのアルバムを聴いても、初めに感じた印象は「なにやら古臭いぞ?」というもの。それこそがAnekdotenのコンセプトでありサウンドキャラクターです。

King CrimsonやPink Floydを彷彿とさせる昔ながらのプログレッシヴ・ロックをサウンド面でより強化、再構築をして果敢にも切り込んでいきました。すっかりキーボードでのサンプリングが主流となっても本物のメロトロンを導入しよりリアルな「全盛期の再構築」を目指したのです。

個人的感想だとクリムゾンのアルバム「Red」を彷彿とさせるヘヴィなサウンドとインプロヴィゼーションに富んだ演奏が持ち味。かと言いつつ先人が試行錯誤を繰り返した故の模索感はなくストレートにそこを狙ってくる潔さが感じられます。

結局、プログレというのは「ここ」なんだと、複雑な道に迷い込んだとき一度原点に立ち返り今を見返すという、誰しもそう言ってはいるけどなかなかできることじゃない思い切りをAnekdotenはやってのけました。

これから春になり環境が変わり戸惑う人もいると思いますがそんなときは是非一度ご自分のルーツに立ち返ってはいかがでしょうか。少なくとも「ルーツに立ち返る」という選択肢を忘れないでいてほしいと思います。

余談


余談になりますが、このバンドをちゃんと聴くまで「アネクドン」だと思っていました。アネクドン?アクネドン?どっちにしろ恐竜みたいな名前のバンドだと勘違いしていましたが正しくは「アネクドテン」です。言いにくいですがこちらも忘れないようにしましょう。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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