The Neal Morse Band「The Great Adventure」: 天路歴程コンセプトの完結版を最速でレビュー!
おはようございます、ギタリストの関口です!
本日1月25日、ついにThe Neal Morse Bandの3rdアルバム「The Great Adventure」がリリースとなりました!
今回、僕は興味本位からNeal Morseが主宰するRadiant Recordsから直接予約してあるのですが何分アメリカからの発送ですから今日は届かないかもしれませんね笑 しかし0時と同時にApple MusicやSpotifyでは配信されているのでバッチリご紹介できます!
The Great Adventure / The Neal Morse Band
The Neal Morse Bandは、アメリカのプログレッシヴ・ロック/メタルバンド。元Spock’s BeardのフロントマンNeal Morseが、ソロに転向した後、活動メンバーを固定して結成しました。
メンバー
- Neal Morse(ニール・モーズ) – Vo,Key,Gt
- Mike Portnoy(マイク・ポートノイ) – Dr,Vo
- Eric Gillette(エリック・ジレット) – Vo,Gt
- Randy George(ランディ・ジョージ) – Ba,Vo
- Bill Hubauer(ビル・ヒューバウアー) – Key,Vo
天路歴程
前作「Similitude Of A Dream」の続編とされる今作はテーマも同様、イギリスの教役文学者John Bunyan(ジョン・バニヤン)の書いた宗教書「天路歴程(てんろれきてい)」がコンセプトになっています。
これはプロテスタントの間でもっとも読まれたとされる寓意物語で、つまりは作り話なのですがクリスチャンという若者が死闘など困難を乗り越え「天の都」を目指すというもの。人生において経験する葛藤や苦難、そして理想的なクリスチャンの姿へと近づいていくその過程を寓意したストーリーです。
なお原題は「The Pilgrim’s Progress from This World to That Which Is to Come; Delivered under the Similitude of a Dream」
この天路歴程も、全2巻という長編の物語なのでニールもそれに沿って構想したと考えてよさそうです。
王道のシンフォニック・プログレロック
元々シンフォニック職人として名高いニールですが、今回はいつにも増してそのシンフォ節が炸裂しています。同人が関わったアルバムから推察してソロアルバムの「Sola Scriptura」とSpock’s Beardの「Snow」を融合させたような感じです。
二枚組、全22曲という今作も大作極まりないボリュームなので全ては紹介しきれませんがおすすめ曲などいくつか紹介していきます。
曲紹介
Disc1
#1は「Overture」。開始早々10分超えの大型オープニングナンバー。ニールの“Overture”は数多くありますがいずれも極上のシンフォニックとスリリングな展開を有したインスト曲です。前作のラスト「Long Day」からの導入もプログレマニアを唸らせるニクい演出。
#3「Welcome to the World」。YouTubeで先行配信された4新曲のうちの一曲目。長丁場のアルバムを引っ張っていくリードトラックとして安定の出来です。
#4「A Momentary Change」。今作はガツガツ物語が進行していくよりは少し慎重な歩み。それを表現するかのようにいつも中盤以降で登場するビルのボーカルが早めに出てきます。
#5~6「Dark Melody」「I Got to Run」。Dream Theaterを思わせるマイナー調のプログレメタル。#6はエリックがサビのリードボーカルを勤めアルバムのファクターとして二転三転する曲です。
#8「The Great Adventure」。先行配信二曲目。前作の「So Far Gone」のようなキャッチーなタイトルトラックで中盤ではプログレッシヴなインストパートも。
Disc2
#2「Long Ago」。前曲「Overture2」から繋がる“静”の曲。アコースティックソングもニールの魅力の一つです。
#4~#7「Fighting with Destiny」「Vanity Fair」「Welcome to the World2」「The Elements of Fear」。ここから物語も加速を見せます。アグレッシブなヘヴィメタルの#4で勢いづいたら配信曲の残り二曲ビートルズライクな#5とマイキーのリードボーカル曲#6が続きヘヴィなフランジャーギターが印象深い#7へと一連に流れていきます。そしてビルの太く甘いボーカルから終盤のバラードセクションへ。
#9「The Great Despair」。ニールのソロ曲「In The Fire」を思わせるメロから入るエモーショナルなナンバー。後半はバラードトラックに沿ってJohn Petrucciのような泣きのソロ。
#10「Feedom Calling」。物語もいよいよ佳境です。前作でテーマとなっていたメロディを大いに引き継ぐ伏線回収も兼ねた7分半の大作。途中4分にも及ぶインストパートも圧巻の聴きごたえです。
#11「A Love That Never Dies」。ラストは締めにふさわしい壮大なバラード。バックコーラスの壮大さもさることながらバラード担当のエリックのボーカルは泣けます。
聴き終えて
今回特に感じたのは新たなメロディのバリエーションの豊かさ。前作「Similitude Of A Dream」では比較的同じメロディを何度も登場させ物語と曲との関連性を持たせていましたが、それが二枚組をまとめあげる一方でこじんまり収まっていると評価している人もいました。
今回はそこを意識してのことか、様々なタイプの楽曲が物語としての広がりも手助けしています。
長らく待ちましたが聴き込み甲斐のある痛快の一枚です!
なお本日よりNeal Morseの公式有料ストリーミングアプリ「waterfall」もリリースとなります。ソロはもちろんSpock’s BeardやFlying Colors、Transatlanticに至るまでニールの楽曲が聴き放題という究極のファンサービスです。