【後編】ギタリストの天敵、腱鞘炎について経験から語る!
by 関口竜太 · 2019-01-18
おはようございます、ギタリストの関口です。
腱鞘炎について後編です。
前回は腱鞘炎の基礎知識、簡単なストレッチなどお伝えしました。今日はどうして腱鞘炎になるのかそもそもの部分を書きたいと思います。
以前腱鞘炎にかかった経験
僕が腱鞘炎にかかったのは2015年の年明け。録音でギターを弾いていたのですが最初はバレーコードを押さえると痛いところから始まりました。たまに弾きこむと手が痛くなることはありますがそれとはまた違ったんですよね。
日頃から腱鞘炎に対して危惧していた僕はその日すぐにギターを弾くのをやめ、治療のため信頼の置ける接骨院へ向かいました。
なお、腱鞘炎になった原因はギターではなくお米です。年末はお米を測る機会が必然的に増え、特にもち米を数百キロに渡って測りアナログにも篩にかけていたのです。
こちらはうるち米(一般的な白米)。ボウル一杯でおよそ1kg。とは言え指先と手首で支えていますのでこれが100、200と連続して繰り返していたらそれはかなりの負担になりますよね。
衝撃の事実。腱鞘炎は手首への負担ではなかった!
さて、接骨院での治療を始めた僕ですが、その過程で驚きの事実を知らされます。
それは上半身の筋肉がすでに首からガチガチに固まっていたこと。
人の筋肉は肩から末端まで実は連鎖的に繋がっていて、指や手首など末端の筋肉を使う際はより中心に近い大きい筋肉も同時に使っています。これは僕の同期であるギタリスト北島健吾さんによっても説明されています。
ここではギターのピッキングについてのレクチャー。
ピッキングは手首とか指先とかって話よくあるけど
小さく円を描くだけでこれだけ筋肉や関節が動くわけだから、
奏法やゴール地点で変わってしかるべきものですよってやつ。
さらに弦抵抗もありますからね。 pic.twitter.com/PTXn2k4LIb— 北島 健吾🎸ハヤエモニックギタリスト (@kengo1228) December 15, 2018
つまり普段僕らが使っている末端の筋肉は腕とか肩とか首とか、大きく発達した筋肉の力を借りるから使えているわけです。1kgのお米でもそれを手首だけで支えるのではなく上半身の筋肉で支えていて末端の小さい筋肉は繊細な動きをするためのアシストにすぎないのです。
上半身が固まってしまう主な原因
ところが、特に首から肩にかけガチガチに固まってしまった僕の筋肉は基礎となる力点としての機能を欠いていたのです。そのため本来そこが請け負う力の大半が前腕や手首に集中したと思われます。僕の場合はお米を測っていて…という例外ではありますが多くの人の日常生活の中でも確実に現れる事態だと思います。
例えば…
・スマホやパソコンなど長時間同じ姿勢、または不自然な姿勢
・カメラ、カバン、楽器など日頃から重たいものを肩にかけ持ち歩く
・ベッド、マットレス、枕など寝具が合っていない
また、例えば足を怪我してそれを庇って歩いていたりすると本来の足の負担は腰にやってきます。曲がった腰は上半身にも負担のお鉢を回すことになります。それぞれの機能を補うように体は作られていると言えば聞こえはいいですが健康体である以上は意識してそれを保ちたいものです。
以上のことで三ヶ月ほど、毎週接骨院に通って固まった筋肉を徹底的にほぐしていただきました。それはもう悲鳴が出るほど痛いですがおかげで手首への負担が軽減、以降何年かはときどき痛みましたが現在は問題なくすごせています。
ギタリストへ
ギタリストならずとも楽器で繊細な動きをする人全般に言えますが目先のテクニックを意識しすぎて手首や指などの細かい動きばかりに気を取られない方が良さそうです。特に姿勢とフォームは重要で、「ギターで腱鞘炎になる人は特殊な演奏を続けているか弾き方(フォーム)が変」という話も聞きました。
楽器を扱えるというのはとても素敵なことで、誰にもできることではありません。ですが楽器を扱うためだけに私たちの体は作られていませんのでどうか長く音楽人生を歩まれるためにも手先だけじゃない体全体のケアに気を配ることをおすすめします!
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関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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