ミスチル「重力と呼吸」を聴いて。

おはようございます、ギタリストの関口です。

あれから一週間、無事に熱が下がりました!しかし一週間はあまりに長くてタイムロス感がすさまじいです。「…ただでさえ忙しいのに」と思ってしまうのですがだからこそこれだけ休む必要があったと前向きに捉えたいですね。

さて、風邪でダウンしてたせいですっかり後手後手ですがMr.Childrenの最新アルバム「重力と呼吸」が発売されました。先日ようやくちゃんと聴くことができたので書いていこうかなと思います。

 

僕は2001年、youthful daysのころからミスチルのファンで自分でも比較的遅い方だとは思いますが、後に自らの音楽性がメタルやプログレに傾倒してもミスチルは変わらずありつづけてくれるという重要なポジションのバンドとなっています。むしろ近年は影響を受けている部分すらありますね。そんなミスチルの最新アルバムです。

重力と呼吸 / Mr.Children

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Mr.Children、19枚目のスタジオアルバム。23曲収録された前作「REFLECTION」より実に3年ぶりのリリースです。

 

Mr.Childrenというバンド


世間でも「ミスチル」と聞けばまずはボーカルである桜井和寿さんが大幅に先行します。彼こそ「Mr.ミスチル」、このネーミングのトートロジーですら甘いハニカミで皮肉に変えてしまいそうな桜井さんがとにかく印象的です。

しかし今回のアルバムはギター田原健一さん、ベース中川敬輔さん、ドラム鈴木英哉(ジェン)さん全員が横並び、なんなら桜井さんが一歩後ろに引くくらいのスタンスなのが音源から伝わるという、これは一種の事件です。

そもそもミスチルは

・「innocent world」「Tomorrow never knows」「名もなき詩」など国民的大ヒット曲多数

・映画やドラマ、CMなどとにかく膨大なタイアップ曲

・プロデューサー小林武さんのシンセやオーケストレーションによる壮大な楽曲

いくつかある、いわゆるテンプレートのミスチルってこのあたりで、昔は政治や業界のタブーに触れたり風刺や皮肉たっぷりに世間を斬っていたこともありましたが、ここ10年はとにかく綺麗でいい子で悪く言えば啓蒙っぽい歌詞が当たり障りなく並んでいて、それが小林Pのサウンドでまとめあげられてる優等生でした。

それがちょっと違うぞ?と思えたのは前作REFLECTION。過去へ少し回帰したようなサウンドが戻ってきてくれた印象を受け、I Can Make ItROLLIN’ ROLLINGなど往年のファンが久しく聴きたかったような楽曲が並んでくれました。そして今回のアルバムです。

 

むき出しのサウンド


僕は決して小林Pサウンドが悪いというわけではなく、世の需要にマッチした素晴らしいセンスとその功績はまさに賞賛に値すると考えています。ただミスチルにせよいきものがかりにせよ、みんな同じに聞こえてしまうという相応のリスクがありました。

今作「重力と呼吸」の話をしましょう。その圧倒的なストリングスは控え、とにかくバンドサウンドが前面に出ていますごまかしの効かないむき出しのサウンドです。初っ端ジェンのカウントから入るこのエネルギー。来年50歳になる男たちのどこからこんなエネルギーが湧き上がってくるものなのかと不思議になりますね。

常に新鮮なサウンドが高濃度で流れ込んでくるのですが「SINGLES」「here comes my love」を経て「箱庭」まで来たときようやくそれがミスチルなのだと実感が湧いて来ます。

映画タイアップにもなった「himawari」ですがこちらもアルバム用のRemix、ボーカルも別のテイクを使ったバージョンになっています。アルバムバージョンって僕らが中高生の時はレコード会社の戦略でよくあった話でしたが音楽ストリーミング配信が主流になった今ではむしろ珍しい存在になりましたね。サウンドプロダクション面においてもアルバムと丈を合わせたようでシングルとして浮くこともなくうまくマッチしていると思います。

 

ミスチルはその認知度の高さと曲の良さから非常に間口が広いのですが実はアルバムは奥深くてどのアルバムもスルメだと個人的には思います。病み上がりでしっかり聴き込めてはいませんがこれからまた彼らの味がしっかり伝わるくらい噛んでいきたいです。

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関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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