30年ほぼ実家暮らしが語る。「実家が東京は才能」は本当か。
by 関口竜太 · 2018-08-08
おはようございます。ギタリストの関口です。
またまた台風ですね!東京は涼しくなるので厳しい猛暑にひと休憩という感じですがそれでも八王子などでは洪水も発生しているようなのでどうぞお気をつけてください。
東京といえば、ついこの間Twitter上で話題になったツイートがあります。それが「実家が東京にあるのは才能だ」というものです。
それについて僕はツイートでこんなことを呟きました。
実家が東京は才能って話、ついこの間それについて話してたな。でもね生まれも育ちも東京の僕から言えるのは、地方の人のハングリーさや熱量がその分足りなかったりするのよ。なんとなく向こうから来てくれるかもしれない錯覚の中で生きてるのでとても危険。
— 関口竜太@せっちんミュージック (@KinpatsuKomeya) August 7, 2018
実家が東京は才能って話、ついこの間それについて話してたな。でもね生まれも育ちも東京の僕から言えるのは、地方の人のハングリーさや熱量がその分足りなかったりするのよ。なんとなく向こうから来てくれるかもしれない錯覚の中で生きてるのでとても危険。
このツイートも込みで今日はお話していきたいと思います!
東京生まれ東京育ち
僕は両親がどちらも東京都の出身で、それも区まで同じという近い出会いだったので必然的に東京に生まれることになりました。
また家が代々続く自営業のため引っ越しという経験もなく大人になってしまいました。
小さい頃から旅行で地方に行くことはあれど地方の生活というものに対する意識は薄く、「そこで生まれたからそこで暮らしている人」という程度の認識でした。
大学で地方を強烈に意識する
僕が地方出身の人たちを意識するようになったのは大学に入ってからです。
それまで小中高と都内の学校に通い(当然といえば当然なのですが)、大学受験の際も一時は千葉の大学が候補に上がったものの音楽をやるなら都内だろうということで世田谷区の私立大学へ進学しました。
そこで初めて地方から上京してきた同世代というものを意識するようになりました。もちろん小中高でも地方から越してきた同級生はいましたがそれはあくまで親の都合に依存します。
事情はどうあれ自らの意思で東京へ出てくる、それも関東圏だけでなく北海道から沖縄まで全国から集まってくるというのは衝撃でしたし今思えば自分の了見の狭さに恥ずかしくなってしまいます。
実家が東京にあるのは強みである
東京で生まれ育った僕が言うのは非常に厚かましいのですが正直実家が東京にあるというのは強みだと思っています。
こればかりはどうしようもない話ですが、下町で特別交通の便が言い訳でもない現在の場所でも助けられたことは多いです。家賃や食費に自分が消費することが少なく、何かあってもタダで寝る場所くらいは確保できます。
長期休暇のたびに新幹線に乗って実家に帰る大学の同期を見ると大変だな、自分はとても恵まれているんだなと思わざるを得ません。
「実家が東京」の欠点
これは実際に東京で30年生活して育ってきた僕個人の意見ですが、東京生まれ東京育ちはイマイチハングリーさに欠けます。もちろん今日を必死で頑張っている人たちを貶めるつもりの発言でないことはご承知ください。
しかし何か夢があったとしてその夢が潰えてもどこかでなんとかなるような、実際そうである保証なんてないのにまだ首の皮一枚繋がっているような錯覚に陥ることがあります。
そしてそれは非常に危険なものです。
ぬるま湯に浸かっているうちに年齢という取り返しのつかない川に流されている可能性だって十分にあるのです。
今でこそ東京出身で成功を納めたバンドは多いですが一昔前は地方のバンドの方が勢いで優っていた気がします。舞台が同じ東京である以上、最初からそこに“いた”のと目的を持って“来る”のとでは意識の上で違うことがわかると思います。
「才能か」という点に関しては、結局「努力するお膳立てをしてもらっている」くらいのものだと思います。肝心なのは「努力できる才能(意思)」です。
あと余談ですが個人的に才能という言葉はあまり好きではありません。
首都=日本のメインなのか
江戸時代以降、東京は日本の首都です。
国のトップが居て、国を動かす人が集まっている。歯車の中心であるが故に人が集まりやすくインフラや施設の充実=生活のしやすさに繋がっています。しかしそれだけでは国は動かせず歯車は一つ一つ繋がっていかなくてはなりません。
地方には広大な敷地やものづくりの土台、豊かな自然に人が本来生きるという本質を支える要素がたくさんあります。
都市部は東京と見分けがつかないほど栄えていながら農業や稲作、巨大な素材を加工できるだけの環境が整っています。これらがなければ東京がここまで発展することはありえませんでした。
青森でギター製作の道へと進んだフォロワーさんもいます。米屋を営んでいる以上、年間通して米や野菜や土作りを研究している農家さんたちのことも知っています。
僕は少なくともその人たちを否定する気にはなれません。
大事なのは自分の拠点がどこか
場所というのは重要ですが、大事なのは自分にとっての場所です。
Tシャツが大好きでネットを通じて個人で取引をしている先輩がいますが、長らく東京で住んでいたところついにその必要がなくなり実家のある岐阜へと戻って行かれました。
音楽や芸術の文化では人と会うことが多いため都内というのは確かに有利になります。ですが大阪や名古屋、仙台や福岡などの都市でも実際は東京と違えど環境は整っているのではないかと思っています(実際見たわけではないのでご意見を聞かせていただきたいところです)。
同人音楽のイベントに行くとてんでバラバラの地域から集まって音楽を作っているサークルも多いです。
僕のアルバムでは台湾のボーカリストさんが参加してくれたりして、連絡手段やデータのやりとりに関してそこはすでにボーダレスと言ってもいいでしょう。
何よりそこで知り合える人との繋がりは東京に住むということよりもかけがえのないことなのではないでしょうか。
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関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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