John Petrucci「Suspended Animation」: 51歳。ストイックで孤高な男が築き貫いたプログレメタルというジャンル。
by 関口竜太 · 2018-07-12
こんにちは、ギタリストの関口です。
本日7月12日は、Dream TheaterのギタリストJohn Petrucciの51歳の誕生日ということでおめでとうございます!
ジョンに関しては音楽的な影響もたくさん受け、この春シグネチュアモデルギターも買ってしまったくらい好きなのですが語らせると止まらないので彼のソロアルバムについて触れたいと思います。(追伸:やっぱり止まりませんでした)
Suspended Animation / John Petrucci
John Petrucciはアメリカのミュージシャン。プログレッシブ・メタルバンドDream Theaterのギタリスト。
唯一のソロアルバム
本作はジョンが2005年に自身のホームページからのみ購入可能という形でリリースした現在唯一のソロアルバム。
そもそも海外のミュージシャンって有名なバンドが一つ大きくあって、その他に手広くいろんなバンドやプロジェクトに手をかけるものなんですけど(マイク・ポートノイなどはそのいい例)、ジョンはほぼDT一筋で、Liquid Tension Experimentはジョン含め3/4がDT関係者だしあと参加したと言えば同じくDTのキーボード、ジョーダン・ルーデスとのユニット的アルバムとG3のみ。
プログレッシブ・メタルという一本筋から全くブレないのが彼の特徴だし同ジャンルのシンボル的存在としてファンがいつでも戻ってこられる場所で待ってる人なんだと思います。ほとんど教祖です笑
そんな彼のソロアルバムですが、John Petrucciという人間の魅力ややりたかったであろうことが存分に詰まってる作品だと個人的には思います。
収録内容
- Jaw of Life
- Glasglow Kiss
- Tunnel Vision
- Wishful Thinking
- Damage Control
- Curve
- Lost Without You
- Animate-Inanimate
個人的にジョンの歴史の中でももっとも好きな時期の音です。曲の展開はとても素晴らしく必殺技のようなギターの応酬もリスナーが期待するシーンでちゃんと飛び出してくる。緻密な構成と正確なプレイが随所に、そして顕著に現れています。
ただ細かなプレイはもちろん素晴らしいですがそれが曲として、またアルバムとして大きく引いていくと段々ぼやけてしまうのは、僕はプログレッシブ・メタルをインストでやる上での欠点だと思っています。
いいメロディを歌のように聴かせたいのならAndy TimmonsやYngwie J. Malmsteen、Allen Hindsなどいますがプログレとはどうしても離れてしまいます。ギターインストとなるとそのバランスが難しいのです。その点で言えば同時期にリリースしたKiko Loureiroの「No Gravity」はメロディライン重視にプログレを少し混ぜることでうまく作り上げています。Steve Vaiも長年その筋の人なのでさすがですね。
おそらくジョン自身もそこは重々承知していているはずなんですよね。そしてそのプレイスタイルは汎用性こそあれど独特で強い個性が持ち味です。だから自分の音楽性を最大限活かせるDTに全力を注いでいるんだと思います。
そうして考えてみると彼のソロアルバムはDTだけでは物足りなくなったギターキッズがJohn Petrucciのギターを飽きるまで聴いていたいと思ったときに手に取るリーサルウェポンのようなものだと思います。そこにはMike PortnoyもJohn MyungもJordan RudessもJames LaBrieもいません。プログレッシブ・メタルというジャンルを確立させ孤高にも音楽性を突き詰める男の勇姿を是非聴いてあげてください!
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タグ: Dream Theater
関口竜太
東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。
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