アメリカンプログレハードはプログレではなかった

こんにちは、ギタリストの関口です。

おととい、動画を投稿しましたが、すでに他にアップしたい案件、こんなの考えてます的なアイデアはいくつかあってしばらくネタには困らなさそうですが投稿スピードなどもう少しコンスタントにやっていけたらなと思います。

 

本日ピックアップするのはこちらのアルバム!

 

Leftoverture / Kansas

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プログレッシブ・ロックの中でも70年代後半の名盤に挙げられるアルバムです。基本情報から説明していきます。

 

プログレ史におけるKansas


Kansas(カンサス)は、アメリカ・カンザス州出身のプログレロックバンドで60年代後半誕生したハードロックにプログレが混ざる、アメリカンプログレハードの代表的なバンドとして70年代に人気を博しました。

メンバーは時期によってまちまちで、脱退したり加入したり一概には言えませんがその音楽性を作った功績としてギターのリチャード・ウィリアムス、ドラムのフィル・イハート、ボーカルキーボードのスティーヴ・ウォルシュ、ヴァイオリンボーカルのロビー・スタインハートを挙げておきます。いずれもデビュー当時のオリジナルメンバーです。

 

アメリカンプログレハードはプログレではなかった


明確にはプログレから派生したジャンルということで語られることが多いアメリカンプログレハード。しかしプログレに分類される所以がシンセサイザーなど音色的にプログレからの影響というなんとも弱い理屈だったのです。

実際、このジャンルに分類されるのはJourney、Boston、Totoなどでいずれもイギリスで生まれたプログレとは似ても似つかないポップさ。国が違えば育ちも違うのはプログレも一緒だったようで当時アメリカで人気だったハードロックサウンド、ポップな歌メロ、プログレから拝借した煌びやかな音色で調合されたアメリカンプログレハードは皮肉も込めて「商業ロック」と呼ばれたのでした。

余談ですがJourneyの「Mother,Father」はDream Theaterがオフィシャルでカバーしてます。

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アメリカンプログレの「伝承」


しかしカンサスは違いました。商業ロックと呼ばれるに値するセールスを記録し実際そう呼ばれることも多いですが、音楽性は極めてプログレ。曲のサイズは平均より少し長めといった具合ですがしっかりと過去のプログレへの敬意とその後のアメリカンプログレの基盤を残してくれました。

 

Leftoverture(邦題「永遠の序曲」)は4枚目のアルバムにして400万枚のセールスを記録しゴールドディスクも獲得します。全8曲の中でも1曲目に収録された歴史的名曲「Carry On Wayward Son」は説明不要ですがラストの「Magnum Opus」こそ真髄。

 

Magnum Opus / 超大作


6つのパートに分かれた8分大作。中盤からあとはずっとインストパートです。それもしっかりとしたプログレ。これが400万枚も売れたというのはなんとも感慨深さを感じずにはいられません。

カンサスは現在も活動していて、2014年に出した「The Prelude Implicit」も最新メンバーによる変わらない音楽性でしたのでまた別の機会に紹介したいと思います。

関口竜太

東京都出身。ギタリスト、音楽ライター。 ​14歳でギターを始め、高校卒業と同時にプロ・ギタリスト山口和也氏に師事。 ブログ「イメージは燃える朝焼け」、YouTube「せっちんミュージック」、プログレッシヴ・ロック・プロジェクト「Mind Over Matter」を展開中。2021年から『EURO-ROCK PRESS』にてライター業、書籍『PROG MUSIC Disc Guide』にも執筆にて参加。

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